CHAPTER 5
「街路灯ごとにカメラを付けたら、通信網も電気代も保守費も大変なことになるのでは」。これは最もよく受ける質問です。答えは、FMPSが映像を常時送らない設計であることにあります。以下は試算であり、実証実験で実測して確かめます。
| 約1〜2 W | 1灯あたりの消費電力(カメラ3台構成の試算) |
| 約100ドル | 1台あたりの部品の目安(スマートフォン級の部品) |
| 約100 MB | 行方不明の子ども1人を約1km追跡するのに必要な通信量 |
| 項目 | 前提値 |
|---|---|
| カメラ台数 | 1灯あたり3台(広角・低解像度) |
| 撮影頻度 | 1台あたり毎秒2枚 |
| 画像の大きさ | 平常時 約20kB、動き検出時 約100kB |
| 動きのある時間の割合 | 1日の約2割(住宅街を想定) |
| 保存期間 | 約2週間で自動上書き |
| 部位 | 消費電力の目安(3台構成) |
|---|---|
| イメージセンサー × 3 | 0.3〜0.6 W |
| 処理部(圧縮・動き検出・暗号化・保存) | 0.4〜0.8 W |
| 記憶・通信(待機中心) | 0.1 W以下 |
| 合計 | 約1〜2 W |
電気代にすると、1.5W × 24時間 × 365日 = 約13kWh、1灯あたり年間約400円(1kWhあたり31円として)です。住宅街の防犯灯(LED、10〜20W程度)の消費電力の1〜2割にあたります。
夜間のみ給電される街路灯では、昼間12時間 × 約1.5W = 約18Wh(夏は約14時間で約21Wh)を電池で賄います。放電深度と変換損失を考えると、スマートフォン2台分程度の容量が必要です。毎日充放電するので、長寿命のリン酸鉄リチウム電池を想定します。
| 1台あたり | 3台合計 | |
|---|---|---|
| 平常時のみの場合(20kB × 毎秒2枚) | 約3.5 GB/日 | 約10 GB/日 |
| 動き検出時のみの場合(100kB × 毎秒2枚) | 約17 GB/日 | 約52 GB/日 |
| 加重平均(動き2割) | 約6 GB/日 | 約19 GB/日 |
2週間分(約260GB)を保存するには、512GBの高耐久メモリカードを使います。256GBのカードなら約12日分です。
| 場面 | 通信量の目安 |
|---|---|
| 平常時 | 保守情報のみ(ごく僅か) |
| 出発点の探索(動き検出の一覧と代表画像) | 数 MB |
| 追跡:カメラ1台あたり(約15秒 × 毎秒2枚 × 100kB) | 約3 MB |
| 追跡:約1km(街路灯約30本、1灯あたりカメラ1台分を取り出す場合) | 約90 MB |
| 行方不明の捜索1件の合計 | 約100 MB |
LTE Cat.1級の安価な回線(実効1Mbps程度)でも、1kmの追跡分の画像を十数分で取得できます。即時性が求められる用途では、もう少し速い回線を選べば数分で済みます。高帯域の基幹回線は必要ありません。
カメラ内蔵の街路灯は、すでに製品として存在します。しかし現状では、専用の金型に1000万円以上かかり、それを年間数十台の販売に載せるため、1台あたり20万円前後になります。この価格は、技術の費用ではなく、少量生産の費用です。
量産すれば構図は一変します。
| 項目 | 目安(量産時) |
|---|---|
| LED街路灯(小売価格) | 約5,000円 |
| スマートフォン級の部品一式(小売価格) | 約10,000円 |
| 合体のための部材・組立など | 数千円 |
| 金型代(1000万円を10万台で割った場合) | 約100円 |
| 合計 | 約2万円 |
FMPSが特別な新技術を必要としないというのは、この意味です。普及した2つの製品を合体させるだけで、街路灯はカメラ付きになります。屋外での防水性・耐候性は、安価なLED街路灯そのものが、すでに大量の実績で証明しています。
防犯機器が割高になる最大の理由は、求められる信頼性にあります。
ただし、これは自分の家を、自分だけで、確実に守ろうとする場合の話です。1台の機器に守りを託す限り、その1台に100%の信頼性を求め続けるしかなく、防犯機器は極めて高価にならざるを得ません。
2002年に始まったe自警ネットワークの考え方は、これとは違います。みんなが、みんなのために見守る。自宅前のカメラは、自分の家のためではなく、地域の公共空間のためにあります。多数のカメラが互いに補い合うので、1台1台の故障率が10%を超えても、地域全体の見守りには差し支えません。
FMPSは、この考え方を街路灯の規模で実現します。隣り合うカメラの視野を重ね、1台が止まっていても、前後のカメラで足取りがつながるようにします。機器1台1台に100%の信頼性を求めずに済むので、民生品の部品で安価に作れます。故障のたびの緊急出動も要りません。
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これらは試算です。設置、通信、保守、運用、監査を含めた総費用は、実証実験で実測して評価する必要があります。 |
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FMPS+VRAIO:街路灯による公共安全インフラとAI出力の統治 | 藤井雄作(群馬大学)・NPO法人 e自警ネットワーク研究会
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