CHAPTER 2
FMPS+VRAIOがどのように働くのかを、ひとつの架空の例でご説明します。ここで示す手続きは一つの例であり、実際の運用ルールは社会が決めるものです。
担当者は、FMPSのシステムに捜索を申請します。申請には、目的(行方不明児童の捜索)、対象、時間範囲(15:10〜17:45)、対象のカメラ(自宅前の街路灯)を記入します。独立した記録者が、申請が規則に合っていることを確認し、その申請を記録します。
担当者がまず取り出すのは、映像そのものではなく、自宅前のカメラが「動き」を検出した時刻の一覧です。これは数キロバイトに過ぎません。次に、各時刻の小さな代表画像を一枚ずつ確認していきます。
|
15:52、娘が一人で家を出て、東の方へ歩いていく姿が見つかりました。 |
ここからは、カメラを順にたどります。次の街路灯のカメラから取り出すのは、前のカメラで娘が映っていた時刻の数秒前から約10秒間の画像だけです。カメラ1台あたり約3MBです。
追跡はここで途切れます。しかしこれは失敗ではありません。「16時01分に公園に入り、出てきていない」という事実によって、捜索範囲は一つの公園に絞られます。
捜索隊が公園に向かい、18:20、草むらで虫を追いかけて夢中になっていた娘を見つけました。
この捜索全体で取り出したデータは、約100MBです。担当者が見た画像は、1枚単位で記録されています。
緊急時も、手続きは通常と同じです。後日、監査の担当者が記録を確認します。
もし担当者が、捜索と無関係な画像(たとえば知人の家の前の映像)を見ていれば、それは記録に残り、監査で発見され、制裁の対象になります。
ひったくり事件のような場合も、流れは同じです。被害の現場から容疑者をカメラでたどり、最後にどの建物に入ったかを突き止めます。公共空間を押さえていれば、容疑者の足取りは「どこかの私有地に入った」ところまで必ずつながります。通常の捜査では、映像の取り出しには裁判所の令状が必要とする運用が一つの考え方です(6章)。
|
この例は説明のための架空のものです。実際の手続き、承認の要否、監査の方法は、法律や条例を通じて社会が決めます。FMPS+VRAIOは、決められたルールが守られていることを、後から検証できるようにする仕組みです。 桐生市の実証実験システムで、同じ流れを再現したデモがあります:デモ1:誘拐された子どもの探索(PDF)、デモ2:徘徊高齢者の探索(PDF)。 |
FMPS+VRAIO:街路灯による公共安全インフラとAI出力の統治 | 藤井雄作(群馬大学)・NPO法人 e自警ネットワーク研究会
本サイトの内容は研究段階の構想であり、数値は試算です。