第2章

図:PAPR for Everyone:2020年の提案から公衆衛生上の正式評価提言まで
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年7月7日 | 「自由外出マスク」構想を初めてプレス発表。新聞・テレビで広く紹介される |
| 2020年 | 構想論文(JMEIS):ヘルメット型マスク「自由外出マスク」 |
| 2021年10月 | 科研費(国際共同研究強化(B))による基礎検討を開始(〜2025年3月) |
| 2024年 | 実現可能性研究(JMIR Biomedical Engineering)/特許第7515044号 登録 |
| 2025年1月 | 人口レベルの必要条件(Scientific Reports)/特許第7616624号 登録 |
| 2025年3月 | 特許第7653735号 登録 |
| 2025年4月 | 科研費・基盤研究(B) 25K00735 採択(〜2028年3月)。実用化検討へ移行 |
| 2025年 | 呼吸状態推定、呼吸流量・漏れのリアルタイム推定(Sensors 2編)/研究計画(社会安全とプライバシー) |
| 2026年 | 時間管理型運用 PWS-NET(Scientific Reports) |
| 2026年8月27日 | 公衆衛生上の正式評価を提言(JMIR Public Health and Surveillance) |
| 2026年10月5日 | 計測の失敗とプライバシー基盤(Journal of Medical Internet Research) |
2020年7月7日、パンデミック初期にこの構想を提案したとき、私自身にとって PAPR for Everyone の基本的な考え方はきわめて単純で、ほとんど自明なものでした。
空気感染のリスクがあるなら、人々の行動そのものを止めるだけでなく、一人ひとりが呼吸する空気を浄化するという選択肢があってよい。技術的に実現できるのであれば、社会で使えばよい――当初は、その可能性を示せば話は進むものと思っていました。
しかし、現実にはそう簡単ではありませんでした。工学的にもっともらしいことと、公衆衛生上の対策として採用できることとの間には、大きな隔たりがあります。そして、その前に、この構想そのものを理解し、検討の対象としてもらう必要がありました。
そこで私は、一般市民向けPAPRは本当に実現できるのか、どの程度の性能が必要なのか、呼吸や漏れを計測できるのか、現実的な運用方法はあるのか、と一つずつ問いを分解し、査読論文として積み上げてきました。
まだ、「PAPR for Everyone を採用すべきだ」と科学的に断言できる地点ではありません。しかし、「検討する価値があるかどうか」から議論する段階は、もう越えてよいのではないか。
どこまで感染リスクを低減できるのか。どのような条件なら社会で使えるのか。費用対効果はどうか。人々は受け入れるのか。それらは、議論だけで決めることではありません。測り、比較し、検証すべき問いです。
次は、検証する番です。
(藤井雄作)
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Measures for the Next Pandemic:社会を止めずに感染を抑える工学と社会基盤|藤井雄作(群馬大学)
研究段階の内容です。数値はモデル計算または試作機での測定値です。