トップ | 目次 | English

第5章

時間管理型運用:外す時間は自分で選ぶ

常に着け続けることを求めれば、人は続けられません。そこで、外してよい時間を各人に配分し、いつ・どこで外すかは本人が選べるようにしました。

Time-managed PAPR use enables a balanced approach to infection control and personal freedom
Y. Fujii — Scientific Reports, Vol.16, 2878, 2026.
https://doi.org/10.1038/s41598-025-32625-3

位置づけ: 時間管理型運用(運用設計)

一般市民向けPAPRの装着状態をスマートフォンと連携して管理するネットワークシステム PWS-NET(PAPR Wearing-Status Networked Management System)を設計・試作し、検証しました。

  • SAT(Saved Allowance Time):1日ごとに「外してよい時間」を付与し、その範囲で非装着の時間・場所を本人が選びます。
  • 構成:装着を検知する差圧センサ(10 Pa を境に装着/非装着を判定、2秒ごとに送信)、場所を申告するスマートフォンアプリ、SAT を毎日更新するウェブサーバ。
  • 場所による重み付け:例えば屋外の散歩は重み0.5とし、1時間外しても SAT の消費は30分。
  • 検証:マネキンを用いた4つのシナリオで、SAT の更新と違反判定が正しく動作。市販部品で製作し、質量631 g、連続動作約5.5時間。

行政にとっては過剰な規制に頼らない感染対策の最適化を、市民にとっては生活の自由の保持を両立させる設計です。検知精度(誤検知・見逃しの率)はまだ定量化されていません。

研究計画(科研費・基盤研究B)

実用化に向けた研究計画は、次の解説論文で公開しています。柱は (1) 一般市民向けPAPR本体と評価装置群の開発、(2) 装着率ネットワーク管理システムの設計、(3) 地域での小規模社会実験による実効性・受容性の評価、の3つです。

藤井雄作「研究プロジェクト 電動ファン付き呼吸用保護具をロックダウン代替手段として活用した社会技術システム(第一報)」社会安全とプライバシー, Vol.9, No.1, pp.1–17, 2025.
https://jjssp.e-jikei.org/ARCHIVES/vol09no01/JpnJSSP_vol09_no01_p01.pdf

装着データとプライバシー

装着状態や位置の申告は、個人の行動に関わる情報です。ネットワークによる装着管理は、そのプライバシーへの影響を別に評価すべき対象であり、その基盤を7章で扱います。


← 前へ:4. 呼吸と漏れを測る | 次へ:6. 公衆衛生の正式評価へ →

目次


Measures for the Next Pandemic:社会を止めずに感染を抑える工学と社会基盤|藤井雄作(群馬大学)
研究段階の内容です。数値はモデル計算または試作機での測定値です。