ネットワーク型e自警カメラシステム「e自警ネットカメラ」の実証実験サイト

(社会実験については,コチラをご参照ください.)

 

〜 ネットワーク接続されたe自警カメラにおけるプライバシー保護を目指して 〜

〜 閲覧履歴の完全な記録により,悪用の防止 〜

 

[実証実験サイト―1] 末広みらいパーキング

実施場所:月極駐車場「末広みらいパーキング」(桐生市末広町)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_Suehiro.htm

 

[実証実験サイト―2] 写真館ビル

実施場所:テナントビル「写真館ビル」(桐生市本町5丁目)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_Syasinkan-Bldg.htm

 

[実証実験サイト―3] ブティックビル (準備中)

実施場所:テナントビル「ブティックビル」(桐生市本町4丁目)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_Boutique-Bldg.htm

 

[実証実験サイト―4] 丘の家 (準備中)

実施場所:アパート「丘の家」(桐生市菱町3丁目)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_Okano-Ie.htm

 

[実証実験サイト―5] 一般住宅 (準備中)

実施場所:一般住宅(桐生市東2丁目)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_House.htm

 

[実証実験サイト―6] 一般住宅(2) 

実施場所:一般住宅(桐生市新里町)

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-DoorPhone_House.htm

 

[実証実験サイト―7] エルシーヌ藤ヶ丘

実施場所:社会福祉法人三和会 エルシーヌ藤ヶ丘(桐生市黒保根町下田沢3480)

詳細説明:exp_eJIKEI-Net-Camera_Fujigaoka.htm

 

 

[実証実験サイト―]] 準備段階の社会実験 (準備中)

実施場所:愛知県,ほか

詳細説明:http://www.e-jikei.org/site/exp_eJIKEI-Net-Camera_PreSocialExperiment.htm

 

【閲覧行為の完全な記録】

近未来の日本全国の市街地においては,街路灯程度の単価のネットワークカメラ,あるいは,街路灯内蔵型のネットワークカメラが,街路灯並みの数量・密度で設置され,それらが,インターネットに接続され,各カメラで撮影・保存されている画像ファイルへの迅速なアクセスが可能になると予想さる。日本全国において,不審者,容疑者,容疑者車両に対する,閲覧装置を用いた手動操作による追跡,あるいは,ソフトウェアによる自動追跡が,技術的にも,経済的にも,容易に実現可能になると予想される。

 

そうした「インターネット接続されたカメラが,街路灯並の密度で,いたるところに設置された近未来」の世界においては,例えば,子供が誘拐される事件が発生した場合,まず,家族からの通報を受けた警察の担当職員が閲覧用の端末を操作し,子供の家の前(あるいは周辺)に設置されたカメラに記録された画像を調べる。子供が家を出ることが確認されたら,そこから,芋づる式に,カメラを順次切り替えながら,追跡していく。子供が車両に載せられた場合は,当該車両を,同様に,芋づる式に,追跡していき,現在位置を特定する。そして,パトロールカーを向かわせ,子供を救出する。ということが,簡単に,当たり前のように,できるようになると予想される。これは,「素晴らしい社会基盤」になり得ると考える。

 

しかし,そうした社会において,画像にアクセスする権限のある人間,例えば,市街地カメラを管理・運営する市役所の担当職員が,私的な動機で,システムを悪用する可能性が重大な問題となる。例えば,特定の女性・男性の行動を,閲覧端末を操作して,カメラを切り替えつつ手動で追跡するストーカー行為,特定の個人の動きを自動追跡ソフトを使い追跡・記録する行為,などが挙げられる。こうした不正な使用が出来ないようにする仕組みが,不可欠になる。こうした危険性がそのままでは,折角の「素晴らしい社会基盤」が,社会に受け入れられることが難しくなると危惧する。

 

それに対する答えの一つとして,図1に示すような,新しいコンセプト「閲覧行為の完全な記録」が提案された。本提案に基づくカメラシステムにおいては,例えば,市役所の担当部署が市街地に設置・運営する膨大なカメラから,インターネット経由で画像を取得・閲覧する際に,市役所の担当部署ではない,信頼できる第三者により管理・運営される記録サーバからの許可が必要になる。記録サーバは,「どの閲覧者に,どの画像を,どの不鮮明度での閲覧を許可したか」を,確実に記録する。そして,その記録した情報を,その場で,あるいは,後日,業務命令と照合することにより,業務命令以外の不正な悪用を確実に検出することが可能となる。こうして,全ての閲覧行為が完全に記録され,その場で,あるいは,後日,業務命令と照合されることにより,悪用は確実に発覚することになり,「業務と関係がない閲覧行為」は,強力に抑制されることになる。

 

Concept_記録サーバ

図1 e自警ネットカメラにおける閲覧行動の記録の仕組み(模式図)

 

図3 システム構成(簡易版)

図2 閲覧行動の記録の仕組み:カメラ=閲覧装置=記録サーバ間のデータのやり取り

 

 

本コンセプト「閲覧行為の完全な記録」を形にするために,e自警ネットカメラ(試作システム)を開発した。試作したカメラシステムは,小型コンピュータボード(Raspberry Pi 2)を内蔵したカメラユニット,閲覧装置(閲覧ソフトウェアをインストールしたPC),および,記録サーバ(埼玉大学内)から成る。カメラユニット(撮影画像は暗号化された上で各カメラ内のメモリーに保存。相互にLAN接続し,WiMAX経由でインターネットに接続。)は実証実験サイト(群馬県桐生市末広町「末広みらいパーキング」敷地内,他)に,設置した。図2に,e自警ネットカメラ(試作システム)に関する実証実験における閲覧行動の記録の仕組みを示す。図3に,e自警ネットカメラのカメラユニットを示す.

 

 

外観と内部

図3 e自警ネットカメラのカメラユニット

 

e自警ネットカメラは,以下の特徴を有するカメラシステムである。

(1)          カメラで撮影され暗号化された画像ファイルを,入手,あるいは,開く際に,記録サーバから発行される許可コードが必要となる。

(2)          記録サーバは,許可コード発行要請に対して,予め定められた許可コード発行条件で,許可コードを発行する。

(3)          記録サーバは,許可コード発行要請の受付から,許可コード発行までの過程における,カメラID,画像ファイルID,閲覧者ID,許可コード発行時刻,発行した許可コード,などの情報を記録する。

 

上記の仕組みにより,閲覧者が閲覧装置を使って,各カメラに保存された画像ファイルを閲覧しようとする行為は,全て,記録サーバに記録されることになる。一方,記録サーバは,画像ファイル,暗号キーに触れることは無く,機械的に,予め定められた規則通りに,許可コードを発行し,その過程を記録することに徹することになる。

 

記録した閲覧記録の使い方としては,その場で,あるいは,事後において,業務命令に基づく閲覧行為であるかの照合に使うことが考えられるが,今回の実証実験では,閲覧記録を全て,ウェブサイト上に一般公開することとした。一般に,防犯カメラの前を通る人は,「強制的に撮影」される。強制撮影とバランスを取る目的で,上記の実証実験においては,防犯カメラが撮影した映像を閲覧する人に対しては,「閲覧行為を,強制的に一般公開」するようにした。「強制的に,撮影される」ことに対して,「強制的に,閲覧行為が公開される」とすることでバランスを取るという考え方である。この考え方を拡張すると,例えば,自治体が運用する全ての防犯カメラの閲覧記録は,閲覧命令との整合性のチェックがなされるだけでなく,そのチェック過程も含め,全て,公開されるという運用方法も考えられる。これにより,一般市民は,運用者の悪用により,プライバシーが侵害されることに対する不安感を払拭できると考えられる。

 

提案するコンセプト「閲覧行為の完全な記録」は,ネットワークカメラ(e自警ネットカメラ,など)に限らず,前述のインターネットに接続しないスタンドアローン型カメラ(e自警カメラ,e自警灯,e自警ドアホン,など)に対しても,適用することができる。

 

提案するコンセプト「閲覧行為の完全な記録」は,通学路を含むあらゆる公共スペースを,防犯カメラがきめ細かく,死角なしに見守るようになる近未来において,一般市民のプライバシー保護の為に必須の要件の一つとなると考えられる。

 

 

【運用規定】

研究グループ構成員各人の閲覧者としての画像閲覧の履歴を,全て,下記の「情報開示サイト」にて一般公開します.

本検証実験における閲覧は,研究グループ各員が,架空の組織(例:織姫市役所,織姫警察署,など)に所属する,架空の役職の閲覧者(閲覧ID)となり,行います.

 

研究グループの構成員の実氏名と実際の役職は,以下です.

藤井雄作:群馬大学 教授

太田直哉:群馬大学 教授

吉浦紀晃:埼玉大学 准教授

田北啓洋:群馬大学 助教

加藤蒼悟:群馬大学 学生 (藤井教授の研究室)

 

次に,本実証実験における,実氏名,架空の「役」,閲覧者IDの関係は,以下です.

氏名 (架空の「役」)

ユーザーID

藤井雄作 (織姫警察署 生活安全課長)

Police_100A01_Fujii

藤井雄作 (織姫市役所 市民生活部長)

CGov_100A01_Fujii

藤井雄作 (フジイ電気工事株式会社 社員)

Works_100A01_Fujii

太田直哉 (織姫警察署 刑事課長)

Police_100A02_Ohta

太田直哉 (織姫市役所 総務部長)

CGov_100A02_Ohta

太田直哉 (フジイ電気工事株式会社 会長)

Works_100A02_Ohta

太田直哉  (織姫市七夕町 町会役員)

Chonai_100A03_Ohta

吉浦紀晃 (織姫市七夕町 町会長)

Chonai_100A01_Yoshiura

吉浦紀晃 (織姫市役所 政策部長)

CGov_100A03_Yoshiura

吉浦紀晃 (フジイ電気工事株式会社 社長)

Works_100A03_Yoshiura

吉浦紀晃 (織姫警察署 生活安全課 職員)

Police_100A05_Yoshiura

田北啓洋 (織姫市役所計算機係)

CGov_100A04_Takita

田北啓洋 (織姫警察署 生活安全課 職員)

Police_100A03_Takita

加藤蒼悟 (織姫警察署 生活安全課 職員)

Police_100A04_Kato

加藤蒼悟 (織姫市役所計算機係)

CGov_100A05_Kato

加藤蒼悟 (フジイ電気工事株式会社 社員)

Works_100A04_Kato

加藤蒼悟 (織姫市七夕町 町会役員)

Chonai_100A02_Kato

 

【情報開示サイト】

全ての閲覧行為は,下記にて,公開されています.

http://www.fmx.ics.saitama-u.ac.jp/e-jikei/print.cgi

 

【関連資料】

研究グループに関しては,下記のNPO e自警ネットワーク研究会のホームページをご参照ください.

http://www.e-jikei.org/

 

群馬大学理工学部藤井研究室については,以下をご参照ください.

http://www.el.gunma-u.ac.jp/~fujii/

(英語版のページが開きますので,「日本語サイトへ」のボタンをクリックしてください.)

 

【研究グループの活動の狙い】

近年,日本では,子供の誘拐,強盗,空き巣,痴漢等,多くの犯罪が発生しています.これらの犯罪の多くが,閑静な住宅街,通学路,一般道路などで発生しているにも関わらず,目撃者が居ない場合が多く,問題となっています.

一方,繁華街,中心市街地などの犯罪多発地域,犯罪捜査の上で重要な場所等において,行政等による防犯カメラ(CCTVカメラ)の設置が全国的に進んできています.しかしながら,これら従来型のCCTVカメラシステムでは,集中管理に伴う高コスト,プライバシー侵害の危険性への懸念・不快感などから,住宅街,一般道路等,犯罪の起こる確率が低い地域・場所への高密度な導入は,望めない状況です.そのため,住宅街での事件で,目撃情報がないという事態が生じています.

ごく最近になり,児童の安全を守るために,東京都,群馬県太田市,群馬県高崎市などの自治体が,住宅街,小学校の通学路,などに防犯カメラを設置する計画を進めています.その際には,プライバシー保護の徹底,低コスト化が大きな検討課題となります.なお,東京都の計画(1300校に対して合計6500台)でも,一校あたり僅か5台という超低密度な設置に留まります.

このような状況の下,我々は,近年急速に普及した情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)を利他主義に基づいて市民が使うことにより,地域社会の安全性を向上させようとする考え方「e自警ネットワーク」を発案し,この考え方を普及させるために群馬大学理工学部内にNPO法人e自警ネットワーク研究会(http://www.e-jikei.org)を設立し,啓発・普及活動,研究開発に取り組んできています.e自警ネットワークは,次の2つの基本コンセプトより構成されます.

コンセプトA:科学技術を活用し,一般市民が,身の回りを確実に見守る社会の実現.

コンセプトB:暗号化保存等による,一般市民のプライバシーの確実な保護の実現.

「市民の協力により,市街地の隅々まで見守られる社会」を,広く普及した科学技術で実現しようというのが,e自警ネットワークの1番目のコンセプト(コンセプトA)です.また,プライバシー侵害の問題を解消する決め手として,画像を暗号化し保存することにより,画像の閲覧権のきめ細かな設定を可能にするというのが,2番目のコンセプト(コンセプトB)です.

 また,行政による市街地の見守りを支援する目的で,行政が導入するのに適したカメラシステムとして,e自警カメラを提案し,パートナー企業が製品化しています.e自警カメラにおいては,撮影した画像は,暗号化してカメラ内に保存されます.暗号キーを適切に管理することにより,「予め,決められた人」だけが閲覧できる,運用形態をとることが可能になります.カメラ内に保存された「暗号化された画像ファイル」を取り出すには,人が,カメラのところまで行く必要があることにより,理由もなくカメラから画像を取り出すことが,非常にやりにくい状況が作られています.

 しかしながら,カメラがネットワークに接続され,カメラ内に保存された「暗号化された画像ファイル」を,瞬時に取り出すことが可能になってくると,「予め,決められ,閲覧を許された人」による悪用の心配が出てきます.この問題を解決するために,今回,新しいコンセプトを提案し,それに基づく,新しいカメラシステム「e自警ネットカメラ」を開発しました.

我々は,「e自警ネットワーク」の普及を通して,「犯罪者が逃げられない社会」,「誘拐された子供が,救出される社会」を全国の地域社会で実現することを目指しています.

 

【連絡先】

群馬大学理工学部 教授 藤井雄作

群馬県桐生市天神町1-5-1 群馬大学理工学部3号館

電話:0277−30−1756(藤井教授室) 

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