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科研費・国際共同研究強化(B)を受け,

新型コロナウイルス感染症から世界を救うための

国際研究協力プロジェクトが始まります!

 

国際研究協力プロジェクト

低コスト個人用呼吸空気浄化デバイス開発と,

フィリピン・セブ市内の病院での運用試験

 

An International Project for Saving the World from COVID-19

has just been launched with the Japanese government funding!

International Research Collaboration Project

Development of Low-Cost Powered Air-Purifying Respirators (PAPRs)

and Operational Tests in Hospitals in Cebu City, Philippines

 

プレス発表(Press Release

【日時】 2022 3 18 日(金)15:00-17:00(日本時間)

 

【発表形式】 オンサイト会場(セブ市,フィリピン)& Zoom 併用 (オンサイト会場で ZOOM 中継します.)

 

【プレス発表資料(最新版)】 プレス発表後,ここにURLを記載します.ここから,ダウンロードできます.

 

課題番号(Issue number)21KK0080

2021年度科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

Promotion of Joint International Research, KAKENHI (Grants-in-Aid for Scientific Research for FY2021)

交付(予定)額:1,898万円,研究期間:202110月〜20243月(2.5年間)

 

【概要】

研究代表者らが中心になって開発してきている個人用呼吸空気浄化デバイス(Powered Air-Purifying Respirator, PAPR)(ヘルメット型,ブース型)をベースとして,フィリピン,シンガポールを始めとする,東南アジア諸国に適した高性能低コストモデルの開発,試作を行う.

 

世界最長のロックダウンに苦しむフィリピン・セブ市内で,現地の強い要望に即して,現地の大学での試作機開発,病院での運用試験を行い,問題点の発掘,改良を行い,高いリスクに晒される医療従事者を守ることができるレベルに高める.

 

高性能な呼吸空気浄化デバイス(PAPR)を用いることで,使用者は日常生活において取り込むウイルス量の激減が可能である.ロックダウンが必要とされる状況下において,こうしたデバイスを保有・使用する市民・企業に対して,@外出・活動を停止するか,又は,Aデバイスを活用して外出・活動を行うか,の選択肢を与えうる社会システムの構築を提案する.

 

【背景】

現在,COVID-19への対策として,社会的距離の確保や,マスクの着用の義務化などが実施されている,しかしながら,感染拡大状況が繰り返し発生し,そのたびに,ロックダウンが実施されている.抜本的な打開策として,ワクチン接種による集団免疫獲得が,全世界で希求されている.しかしながら,突然変異を繰り返す新型コロナウイルスに対して,その都度,有効なワクチンを,迅速に開発・生産・接種する目途は立っていない.[1,2]

 

[1] Christie Aschwanden , “Five reasons why COVID herd immunity is probably impossible”, Nature 591, 520-522 (2021). DOI: https://doi.org/10.1038/d41586-021-00728-2

[2] Ewen Callaway & Heidi Ledford, “How to redesign COVID vaccines so they protect against variants”, Nature 590, 15-16 (2021).  DOI: https://doi.org/10.1038/d41586-021-00241-6

 

COVID-19の感染経路の中で,接触感染,経口感染は,手洗い励行,食品の衛生管理などにより,予防することが比較的に容易であると考えられる.予防が難しく,主要な感染経路となっているのは,飛沫感染,空気感染であると考えられる[3,4]

 

[3] Kimberly A. Prather, Linsey C. Marr, Robert T. Schooley, Melissa A. McDiarmid, Mary E. Wilson, Donald K. Milton, “Airborne transmission of SARS-CoV-2”, Science, Vol. 370, Issue 6514, pp. 303-304.  DOI: https://doi.org/10.1126/science.abf0521

[4] Dyani Lewis , “COVID-19 rarely spreads through surfaces. So why are we still deep cleaning?”, Nature 590, 26-28 (2021). DOI: https://doi.org/10.1038/d41586-021-00251-4

飛沫感染は,咳,発声などにより排出される直径5μm以上の粒子である飛沫に含まれるウイルスを,呼吸により吸い込むことで感染する感染経路である.空気感染は,直径5μm以下の粒子であるエアロゾル中に含まれるウイルスを,呼吸により吸い込むことで感染する感染経路である.

 

粒子の放出については,粒子径の大きな飛沫は,フェイスマスクにより,咳や発声の際の排出時に多くを捕捉できる.しかし,粒子径の小さなエアロゾルは,マスクと顔の隙間から外部に漏れやすい.[5]

 

[5] Siddhartha Verma,  Manhar Dhanak and John Frankenfield,“Visualizing the effectiveness of face masks in obstructing respiratory jets”, Physics of Fluids 32, 061708 (2020).

https://doi.org/10.1063/5.0016018

 

一方,粒子の吸引については,粒子径の大きな飛沫は,重力により落下する速度が速いため,社会的距離確保により,その多くを防げると考えられている.しかし,エアロゾルは,空中に広く拡散しやすく,放出されたエアロゾルを空気中から排除することは難しい.[6]

 

[6] Michael Klompas, Meghan A. Baker, Chanu Rhee, “Airborne Transmission of SARS-CoV-2. Theoretical Considerations and Available Evidence”, JAMA. 2020;324(5):441-442.

DOI: https://doi.org/10.1001/jama.2020.12458

 

もしも,仮に,市民一人一人が,飛沫,エアロゾル(0.1μm粒径5μm 程度)の放出・吸引を完全に遮蔽する高性能な呼吸空気浄化デバイス(Powered Air-Purifying RespiratorPAPR)を常時,使用することになれば,空気感染を完全にストップすることができると考えられる.

 

高性能な装着型PAPRとして,医療用PAPRや産業用PAPRなどがある.これらは,一般的に,高価で,特殊な環境でのみ用いられている.これらPAPRを量産し,全国民に配布するという発想は,荒唐無稽に思えるためか,これまで,議論された形跡はない.

 

例えば,以下のような仕様により,高性能な個人用PAPR(ヘルメット型)を低コストで製作できると考えている.

[a] ヘルメット型とし,首シールで気密を確保する.

[b] 電動ポンプ駆動により,高性能フィルタ(0.1μmまでの微粒子を99.97%遮蔽)を透過させた上で給気,排気する.

[c] ヘルメット内の圧力は,外部に対して,一定となるように給気ポンプ,排気ポンプの出力が制御される.(呼吸を助けるような,圧力制御も可能である.)

以上により,ヘルメット内は気密が保たれ,浄化された空気のみが給気・排気される.

 

同様に,ヘルメット部分を,机回り,ベッド回り,航空機の座席回り,などを覆うブースに置き換えたブース型デバイスを製作することも容易にできると考えている.病院,ホテル,一般住宅の個室の空調システムを,置き換えることも容易にできる.

 

【試作機】

研究グループでは,これまでに,図1に示すようなPAPR試作機(ヘルメット型「自由外出マスク」,ブース型「自由外出ブース」)を開発してきている.[7,8].部品代は,ヘルメット型が約2万円,ブース型が約3万円であった.本研究では,これらを改良し,また,これらPAPRの使用率ネット管理システムを開発する. ヘルメット型PAPRについては,図2に示すように,布製帽子にメカを格納し,かつ,顔部分のみを覆う気密Window(開閉機構付き)を装備した,圧迫感の無い,快適な装着感の高性能試作機を開発する.

 

Figure 1&2

     図1.既開発PAPR(ヘルメット型,ブース型)       図2.開発予定のPAPR(イメージ)

 

[7] Y. Fujii and A. Takita, " Personal Respiratory Air Purification Device (Helmet-type): Distancing-Free Mask (Prototype No.5)", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.4, No.2, pp.1-5, 2021. http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v04n02/JMEIS_v04n02a001.pdf

[8] Y. Fujii and A. Takita, " Personal Respiratory Air Purification Device (Booth-type): Distancing-Free Booth (Prototype No.1)", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.4, No.2, pp.6-12, 2021. http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v04n02/JMEIS_v04n02a002.pdf

 

低コストで高性能な個人用呼吸空気浄化デバイス(ヘルメット型,ブース型)を開発し,量産し,普及させることにより,ロックダウンが必要と判断される状況下において,人々は,自宅に籠るか,これらデバイスを活用して外出するか,の選択肢を持てる可能性がある.

 

【社会システムの提案】

一例として,以下のように,ワクチンによる集団免疫獲得が間に合わない状況下において,ロックダウン無しで感染を確実に収束させる能力を持つ社会システムを提案する.

[A] 全市民に,個人用ヘルメット型PAPRを配布する.

[B] 感染拡大が懸念される状況になった場合は,以下を行う.

[B.1] その時の実効再生産数Rtを推定する.

[B.2] 目標とする実効再生産数Rt_targetを設定する.

[B.3] 目標とする実効再生産数Rt_targetの実現に必要な「必要デバイス使用率Ur」を「適当な仮定に基づく方程式」を解くことにより算出する.

[C] 「必要デバイス使用率Ur」を示し,全市民にその履行を義務付ける.ただし,十分に有効なワクチンの接種等により十分な免疫を持つことを証明できる市民は,免除される.

[D] 実効再生産数の推移を注視し,目標が達成できそうもない場合は,「必要デバイス使用率Ur」の引き上げを行う.逆に,目標を上回る成果が上がっている場合は,「必要デバイス使用率Ur」の引き下げを行い,市民の生活自由度を上げる.

[E] 仮に,「デバイス使用率Ur」の見積もりを大きく誤り最悪な状況に陥ったとしても,「必要デバイス使用率Ur」を100%とするだけで,いつでも,速やかに感染拡大を止めることができる.そのため,余裕をもって,様々な試行を行うことができる.

 

上記[C]を確実に実施するためには,各人の「デバイス使用率U」を計測・証明する機能を有する,スマートフォンと連動させた「デバイス使用率のネット管理システム」を構築することが有効であると考えられる.このシステムにより,各市民は「必要なデバイス使用率Ur」の義務を果たしていることを証明できる.各市民が,義務を果たす範囲内において,「デバイスを使用しないで対人接触する機会」を,例えば,「飲食店」,「パーティ」など自由に選択し,各人に与えられた権利として行使できる社会を構築することができる.

 

「デバイス使用率U」の定義としては,簡易な例として,「外出時間に対するデバイス装着時間の割合」が考えられる.周りの環境のウイルス濃度の推定値と,PAPRのウイルス遮蔽率の推定値から,「一日当たり,呼吸により吸い込むウイルス数の推定値」とすることも考えられる.

 

このような社会基盤を実現する上での阻害要因として,コストの問題と,不快感の問題がある.コストの問題については,COVID-19対策の社会的コストと比べれば僅かであるといえる.不快感の問題については,快適な装着感で,デザイン性の良いものを開発することは可能であると考えている.

 

これら,デバイスには,温湿度調整装置,空気組成調整装置(二酸化炭素吸着装置,酸素濃度濃縮装置)などを組み込むことも可能である.マスクに関しては,一部の人工呼吸器と同様に,装着者の呼吸を助ける目的で,呼気時には内圧を(大気圧の少し上まで)下げ,吸気時には内圧を大幅に高めるように,ポンプを制御することが可能である.

 

【研究内容】

フィリピン・セブ市内において,現地の強い要望に基づいて,現地の大学(セブ工科大学),学会(フィリピン機械学会・ラプラプ支部)の協力を得て,呼吸空気浄化デバイス(Powered Air-Purifying RespiratorPAPR)(ヘルメット型,ブース型)を,現地に適した形への改良を行い,検証実験用試作機の製作を行う.また,使用率(装着率)ネット管理システムの開発を行う.

 

フィリピン・セブ市内の大学(セブ工科大学,サンカルロス大学)内,および,3か所の病院(ビサイヤ州コミュニティ病院,セブ大学メディカルセンタ,Perpetual Succour Hospital)において運用試験を行い,問題点の発掘と改良を行い,高いリスクに晒される医療従事者を,医療行為がし易い快適な状態で,確実に守ることができるレベルに高めていく.

 

高い開発力を持つシンガポール・南洋工科大学(NTU)での共同研究を通して,上記の試作機を,フィリピンなど東南アジア諸国の一般市民の日常的な使用に適した形で,製品化レベルへ高める共同研究を行う.

 

試作機開発,検証実験と並行して,フィリピン,シンガポール,日本において,試作機の製品化を試みる.そして,フィリピンにおける普及,および,社会システムとしての実用化を試みる.

 

研究グループのメンバー(研究代表者,研究分担者)が,現地に滞在して共同研究開発を行うことにより,現地の実情に即した実用性の高い試作機開発を行う.そして,試作機(PAPRと装着率ネット管理システム)の製品化,普及を通して,フィリピンを始めとする東南アジア諸国におけるコロナ禍対策に対して,さらには,全世界のコロナ禍対策に対して,大きな貢献をすることを目指す.

 

【本国際共同研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」】

現在,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として,社会的距離の確保や,マスクの着用の義務化などが実施されている,しかしながら,感染拡大を止めることができない状況が繰り返し発生し,そのたびに,ロックダウンが実施されている.抜本的な打開策として,ワクチン接種による集団免疫獲得が,全世界で希求されている.しかしながら,突然変異を繰り返す新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して,その都度,有効なワクチンを,迅速に開発・生産・接種する目途は立っていない.

 

高性能な呼吸空気浄化デバイス(Powered Air-Purifying RespiratorPAPR)(ヘルメット型,ブース型)により,各人が日常生活において取り込むウイルス量を激減させることができる.高性能で安価なPAPR(ヘルメット型,ブース型)を開発・生産し,広く社会に行き渡らせることにより,感染拡大を速やかに停止させる能力を持つ社会システム構築を提案する.

 

次の2点が,本国際共同研究の研究課題の核心をなす学術的「問い」である.

[A] 世界最長とも言われるロックダウンを実施しているフィリピンにおいて,一般市民にも受け入れられうる,高性能で安価なPAPR(ヘルメット型,ブース型)を開発することができるか?

[B] 高性能で安価なPAPR(ヘルメット型,ブース型)を開発・生産し,広く社会に行きわたらせることにより,感染拡大を速やかな収束が可能な社会基盤を構築する可能性を示せるか?

 

【本国際共同研究の目的および学術的独自性と創造性】

もしも,人々が,外出時にはヘルメット型PAPR「自由外出マスク(Distancing-Free Mask)」を着用し,オフィス・学校ではブース型PAPR「安心ブース(Distancing-Free Booth)」に入れば,自宅外で,ウイルスを取り込む数を激減させることができると考えられる.機械的に遮蔽するため,ウイルスの突然変異に対しても,有効性は保たれる.

 

ロックダウンが必要と判断される状況下においても,自宅外では,マスク装着,ブース隔離を徹底する人は,感染する可能性も,感染させる可能性も極めて低くなり,自由に外出しても差し支えないと考えられる.人々には,自宅に籠るか,これらデバイスを活用して外出するか,の選択肢が与えられる.

 

このような社会基盤を実現する上での阻害要因として,コストの問題と,不快感の問題がある.コストの問題については,フィリピンで投入されたCOVID-19対策の社会的コストと比べれば僅かであることを示していく.不快感の問題については,高温・多湿のフィリピンにおいて,快適で,デザイン性も良いものを開発していく.

 

まず,世界最長のロックダウンに苦しむフィリピンにおいて,その中でも切実な要望・需要がある病院において,医療従事者を確実な保護するのに適した高性能な個人用呼吸浄化デバイス(ヘルメット型とブース型)を開発する.同時に,フィリピンの一般市民向けに普及させることを前提として,低コスト化したモデルを開発も行う.

 

次に,病院(セブ市内の3つの病院)において,医療従事者各人の装着率や,装着状態(CO2濃度上昇や圧力低下・漏れ)を集中管理(記録・解析・警報)する「(使用者のスマートフォンと接続された)ネット管理システム」を開発する.また,これを拡張・発展させた,全国民を対象とした国家レベルの装着率ネット管理システムを提案していく.

 

この社会基盤の最終的な目的は,「ロックダウン」が必要な緊急事態において,一般市民に自由に外出できる選択肢を与え,また,企業などに自由に活動できる選択肢を与えることである.「ロックダウン」が不要な平常時には,この社会基盤は必要ない.

 

将来,快適性に優れたデバイスが開発・発売され,安価に入手できるようになると,政府からの要請の有無にかかわらずに,常に,「デバイスを使い清浄な空気を呼吸したい」という要求を,多くの人が持つようになることも考えられる.多くの人が,常に,個人的な浄化空気供給デバイスを使うような社会は,あらゆる空気感染する感染症に対して,きわめて,強靭な社会となると考えられる.このような新しい生活様式が実現する可能性も提言していく.

 

このような研究は他に類例がなく,学術的独自性と創造性は高いと考えている.

 

【本国際共同研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか】

初年度(令和3年度)は,日本国内,フィリピン,シンガポールにおいて,以下を行う.

[1] ヘルメット型PAPR「自由外出マスク(Distancing-Free Mask)」,ブース型PAPR「安心ブース(Distancing-Free Booth)」の試作機の開発と,大学・病院での運用試験.

[2] 交換式フィルターユニットの開発.低コス重視モデル,デザイン性重視モデルの開発.

[3] スマートフォンでの動作パラメータのモニタ・操作機能の開発.

[4] 自由外出マスクの軽量化(構造材料の再検討,腰付けバッテリー併用).

[5] 空気力学設計.特に,ヘルメット内部,ブース内部の給気と排気の流れの最適化.ポンプ・ファン・フィルタ構成の最適化を行う.これにより,より小さな流量で,二酸化炭素濃度の上昇を抑制する.

[6] 強度評価.安心ブースについては,流体=構造連成解析による強度評価を行う.日常生活で生じる衝撃に耐える強度設計を行う.

[7] 音響設計.日常生活に支障がないレベルで,装着者同士でも,普通に会話ができるようにする.

[8] 使用率ネット管理システムの開発.実験室で試験を行う.PAPRBluetooth接続したスマートフォンアプリと,インターネット接続する.

[9] フィリピン・セブ市内(CTUPSMEなど)での,PAPR開発体制の確立.

 

次年度以降(令和4,5年度)は,日本国内,フィリピン,シンガポールにおいて,以下を行う.

[1] メンテナンス性に優れた試作機,CO2濃度評価に基づきセンサ・制御を省略した低コスト試作機の開発・試作を行い,大学・病院での試験を行う.

[2] ネット管理システム(=装着率,CO2濃度上昇や圧力低下(漏れ)など異常検知の集中管理システム)の開発・試作を行い,大学・病院での試験を行う.

[3] 高温多湿な気候に適した,良好な装着感,軽量でデザイン性に優れた試作機の開発・試作を行い,大学・病院での試験を行う. 

[4] 高性能モデルの開発・試作を行い,大学・病院での試験を行う.

 

最終目標として,フィリピン,シンガポール,および,東南アジア諸国に適した,自由外出マスク,安心ブースの開発,「使用率ネット管理システム」の開発,および,それらを活用した社会システムの設計・提案を行う.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して,ロックダウンが不要な社会の構築,強靭な社会インフラの構築に寄与することを目指す.

 

【プロジェクト構成員,と役割分担】

【日本側研究者】

藤井雄作(研究代表者,群馬大学教授):本国際共同研究の総括,試作機の開発.

橋本誠司(群馬大学教授):制御アルゴリズムの開発,フィリピンでの検証実験.

小林春夫(群馬大学教授):電子回路の信頼性確保,耐久試験.

天谷賢児(群馬大学教授):流れ場可視化.流体要素の組合せ最適化.

山口誉夫(群馬大学教授):,音響特性の改善.

太田直哉(群馬大学教授):普及し易い形態・コンセプトの開発.

吉浦紀晃(埼玉大学教授):使用率ネット管理システムの開発.

田北啓洋(群馬大学准教授):低コスト化の実現,試作機部品の特性評価.

桑名杏奈(群馬大学助教):電子回路の最適設計,流れ場シミュレーション.

矢野絢子(群馬大学助教):流れ場の3次元計測・最適設計,強度評価.

【フィリピン側研究者】

Prof. Ronald M. GalindoCebu Technological University, Dean/Associate Professorセブ工科大学での試作機の開発・改良の指揮.

Dr. Tabetha Saceda Galindo, M.D., OB-GYNE(医師,ビサイヤ州コミュニティ病院産婦人科長)試作機の評価を行い,ビサイヤ州コミュニティ病院での運用試験の指揮.

Prof. Edwin Carcasona (前フィリピン機械学会ラプラプ支部長,前サンカルロス大学教授)フィリピン機械学会ラプラプ支部での試作機の開発・改良.

Prof. Ethelda Magalang(医師,セブ大学メディカルセンタ 助教・講師,Perpetual Succour Hospital 助教・講師)セブ大学メディカルセンタ,Perpetual Succour Hospitalでの運用試験の指揮.

【シンガポール側研究者】

Prof. Dongwei Shu (シンガポール・南洋工科大学 准教授)南洋理工大学(Nanyang Technological Univerisity)での試作機の開発・改良の指揮.

 

 

 [本研究に関連する出版文献]

(1)       Y. Fujii, A. Takita and S. Hashimoto, "A Helmet Type Mask “Distancing-Free Mask”: An Engineering Solution that Eliminates the Lockdown", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.3, No.3, pp.1-7, 2020.

http://jmeis.e-jikei.org/issue/archives/vol03_no03/F001/Camera_ready_manuscript_JMEIS_F001_535362_final.pdf

 

(2)       藤井雄作,新型コロナウイルスとの共存に向けて”, 社会安全とプライバシー, Vol.4, No.1, pp.1-5, 2020.

http://jjssp.e-jikei.org/ARCHIVES/vol04no01/JpnJSSP_vol04_no01_p01.pdf

 

(3)       藤井雄作,田北啓洋,橋本誠司,ウイルスをほぼ完全に遮蔽できるマスクの開発,および,ロックダウンを不要化する社会基盤の提案”, 社会安全とプライバシー, Vol.4, No.1, pp.6-10, 2020.

http://jjssp.e-jikei.org/ARCHIVES/vol04no01/JpnJSSP_vol04_no01_p06.pdf

 

(4)      S. Xu, Y. Cao, S. Hashimoto, Y. Fujii, A. Takita and W. Jiang, “Control design applicable to a helmet type full-face mask”, Journal of Technology and Social Science, Vol.4, No.3, pp.24-30, 2020.

http://jtss.e-jikei.org/issue/archives/vol04-no03/4-A108/JTSS_A108.pdf

 

(5)       Y. Fujii, A. Takita and S. Hashimoto, "An engineering approach for fighting COVID-19; Pseudo herd immunity through the complete spread of the helmet-type masks", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.4, No.1, pp.1-5, 2021.

http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v04n01/JMEIS_v04n01a001.pdf

 

(6)       藤井雄作,田北啓洋,橋本誠司,軽量一体型「自由外出マスク」〜ロックダウン・外出自粛を不要化する「決め手」〜”, 社会安全とプライバシー, Vol.5, No.1, pp.6-10, 2021.

http://jjssp.e-jikei.org/ARCHIVES/vol05no01/JpnJSSP_vol05_no01_p01.pdf

 

(7)       Y. Fujii and A. Takita, " Personal respiratory air purification device (helmet-type): Distancing-Free Mask (Prototype No.5)", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.4, No.2, pp.1-5, 2021.

http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v04n02/JMEIS_v04n02a001.pdf

 

(8) Y. Fujii and A. Takita, " Booth-type of Personal Respiratory Air Purification Device: Distancing-Free Booth (Prototype No.1)", Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.4, No.2, pp.6-12, 2021.

http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v04n02/JMEIS_v04n02a002.pdf

 

(9) R. M. Galindo, A. Takita, E. Carcasona, E. Magalang, T. S. Galindo, S. Hashimoto, T. Yamaguchi, E. U. Tibay, D. W. Shu, H. Kobayashi, K. Amagai, N. Ohta, N. Yoshiura, A. Kuwana, A. Yano and Y. Fujii, “Low-Cost Powered Air-Purifying Respirator (PAPR) “Distancing-Free Mask Frontline (DFM-F) Prototype No.1” for the Operational Tests in Hospitals in Cebu City, Philippines”, Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System, Vol.5, No.2, pp.1-6, 2022.

http://jmeis.e-jikei.org/ARCHIVES/v05n02/JMEIS_v05n02a001.pdf

 

(10) E. Carcasona, R. M. Galindo, A. Takita, E. Magalang, T. S. Galindo, S. Hashimoto, T. Yamaguchi, E. U. Tibay, D. W. Shu, H. Kobayashi, K. Amagai, N. Ohta, N. Yoshiura, A. Kuwana, A. Yano and Y. Fujii, “Very-Low-Cost Powered Air-Purifying Respirator (PAPR) “Distancing-Free Mask Industry (DFM-I) Prototype No.1” and Proposal for a Lockdown-Free Industry”, Journal of Technology and Social Science, Vol.6, No.2, pp.1-4, 2022.

http://jtss.e-jikei.org/issue/archives/v06n02/JTSS_v06n02a001.pdf

 

 

 

 

[特許]

(1)   特願2020-113097,強制吸排気機能付きヘルメット型マスク,出願人:NPO法人e自警ネットワーク研究会,発明者:藤井雄作,橋本誠司,山口誉夫,田北啓洋,出願日:2020630日 (特許請求の範囲:19項)

(2)   特願2020-177304,マスク装着状況・他者との接触状況の管理方法,管理システム,出願人:NPO法人e自警ネットワーク研究会,発明者:藤井雄作,橋本誠司,出願日:20201022 (特許請求の範囲:24項)